<南海トラフ>津波対策 自治体間で取り組みに格差
復興情報を常に気にかけて行きたいです。
東日本大震災を受け、南海トラフを想定震源域とする巨大地震の津波対策を独自に見直す自治体が相次いでいる。住民の防災意識の高まりを背景に、今春に出る国のシミュレーション結果を待たず、暫定的な想定に基づいて避難場所や避難計画を練り直している。一方で、財政難などを理由に見直しに着手しない自治体もあり、自治体間で取り組みに差が出ている。
東海から四国の自治体はこれまで、南海トラフでM(マグニチュード)8級の海溝型地震が起きると想定し、地域防災計画に基づき津波対策をまとめてきた。東日本大震災でM9.0の巨大地震が発生し、見直しを迫られている。
瀬戸内海を西側に臨む岡山県倉敷市の頭間金濱(うとまかなはま)地区。海岸線まで約600メートル、化学コンビナートに隣接する83世帯の小さな集落だ。昨年12月19日夜、市が自治会館で開いた「防災出前講座」には約25人の住民が参加した。「避難所になっている小学校に至る道が水没した場合、この自治会館に避難しても大丈夫か」。住民から次々と質問が飛ぶ。
同県は昨年5月、津波の防災対策を独自に練る専門委員会を設置。市町村と協力して津波対策を進めようと、議論内容や資料を公開している。昨年8月には従来の1.5倍と2倍の浸水域の予想図を独自に作った。
倉敷市は浸水域予想図に基づき、市内の避難場所を見直している。震災後は住民から防災出前講座の要望が急増。11年度は前年度の3倍を超す80回を予定する。講座終了後、自治会長の森富裕さん(63)は「地域の安全は地域で守るという意識が高くなった」と満足そうだった。市の担当者も「震災の直後で防災への関心が高いからこそ住民と話し合う意義がある」と話す。
大阪府は昨年7月、約3メートルだった津波想定を約6メートルに見直し、浸水域予想図を公表した。大阪湾岸に位置する堺市は、浸水予想域に住む市民が全市民(約84万人)の約17%に当たる。
市は避難計画を見直すため、沿岸部を中心に小学校区ごとに「ワークショップ」を開き、住民と話し合いを始めた。担当者は「住民たちの記憶に震災が残っているうちにしないといけない。国や大阪府の動きを待つわけにいかない」と意気込む。
一方、人口約20万人の大阪府岸和田市は、国のシミュレーション結果を待つ方針だ。担当者は「独自で対策を進めても根拠がない。国の結果を待って作り直せば無駄になりかねない。担当者も少なく、財政的な問題もある」と本音をのぞかせる。同府貝塚市も同様で、担当者は「何度も作り直せば住民が混乱する」。同府泉大津市は来年度にも暫定的な避難マップ作製に着手する予定だが、担当者は「予算やマンパワーの問題がある」と明かす。
片田敏孝・群馬大教授(災害社会工学)は「自治体が独自の津波対策を進める中で住民とコミュニケーションを取るのは、住民の防災意識を高める上で有効だ。そもそも自治体が住民の安全を100%保証するという考え方に無理があり、自治体も住民も国の想定にとらわれることなく、災害時に命を守るために最善を尽くす考え方に切り替える必要がある」と話している。【平川哲也、日野行介】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120207-00000054-mai-soci
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
東日本大震災を受け、南海トラフを想定震源域とする巨大地震の津波対策を独自に見直す自治体が相次いでいる。住民の防災意識の高まりを背景に、今春に出る国のシミュレーション結果を待たず、暫定的な想定に基づいて避難場所や避難計画を練り直している。一方で、財政難などを理由に見直しに着手しない自治体もあり、自治体間で取り組みに差が出ている。
東海から四国の自治体はこれまで、南海トラフでM(マグニチュード)8級の海溝型地震が起きると想定し、地域防災計画に基づき津波対策をまとめてきた。東日本大震災でM9.0の巨大地震が発生し、見直しを迫られている。
瀬戸内海を西側に臨む岡山県倉敷市の頭間金濱(うとまかなはま)地区。海岸線まで約600メートル、化学コンビナートに隣接する83世帯の小さな集落だ。昨年12月19日夜、市が自治会館で開いた「防災出前講座」には約25人の住民が参加した。「避難所になっている小学校に至る道が水没した場合、この自治会館に避難しても大丈夫か」。住民から次々と質問が飛ぶ。
同県は昨年5月、津波の防災対策を独自に練る専門委員会を設置。市町村と協力して津波対策を進めようと、議論内容や資料を公開している。昨年8月には従来の1.5倍と2倍の浸水域の予想図を独自に作った。
倉敷市は浸水域予想図に基づき、市内の避難場所を見直している。震災後は住民から防災出前講座の要望が急増。11年度は前年度の3倍を超す80回を予定する。講座終了後、自治会長の森富裕さん(63)は「地域の安全は地域で守るという意識が高くなった」と満足そうだった。市の担当者も「震災の直後で防災への関心が高いからこそ住民と話し合う意義がある」と話す。
大阪府は昨年7月、約3メートルだった津波想定を約6メートルに見直し、浸水域予想図を公表した。大阪湾岸に位置する堺市は、浸水予想域に住む市民が全市民(約84万人)の約17%に当たる。
市は避難計画を見直すため、沿岸部を中心に小学校区ごとに「ワークショップ」を開き、住民と話し合いを始めた。担当者は「住民たちの記憶に震災が残っているうちにしないといけない。国や大阪府の動きを待つわけにいかない」と意気込む。
一方、人口約20万人の大阪府岸和田市は、国のシミュレーション結果を待つ方針だ。担当者は「独自で対策を進めても根拠がない。国の結果を待って作り直せば無駄になりかねない。担当者も少なく、財政的な問題もある」と本音をのぞかせる。同府貝塚市も同様で、担当者は「何度も作り直せば住民が混乱する」。同府泉大津市は来年度にも暫定的な避難マップ作製に着手する予定だが、担当者は「予算やマンパワーの問題がある」と明かす。
片田敏孝・群馬大教授(災害社会工学)は「自治体が独自の津波対策を進める中で住民とコミュニケーションを取るのは、住民の防災意識を高める上で有効だ。そもそも自治体が住民の安全を100%保証するという考え方に無理があり、自治体も住民も国の想定にとらわれることなく、災害時に命を守るために最善を尽くす考え方に切り替える必要がある」と話している。【平川哲也、日野行介】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120207-00000054-mai-soci
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
タグキーワード
- No Tag
